2010年6月14日(月) 衆議院本会議 代表質問原稿

衆議院に於ける新しい与党会派「国民新党・新党日本」の田中康夫です。

混迷する日本社会の“乗数効果”と、国民生活の“消費性向”を高めるべく、代表質問を行います。

菅直人さん、2003年5月10日、民主党代表として諫早湾干拓事業の現場を、当時、長野県知事だった私と一緒に視察した貴方が、「税金の無駄遣い、役人天下りの為の事業。小泉首相はこれが変えられなくて、何が構造改革か」。と一刀両断された、当時の新聞記事を昨夜、懐かしく読み返しました。

私の「『脱ダム』宣言」を引き合いに出され、「首相と農水大臣が止(や)めると言えば、止(と)める事は可能だ」。とシンポジウムで断言された貴方は、諫早湾干拓「潮受け堤防 排水門」開門調査の開始を、この場で改めて、厳命されますね? イエス・ノーで、お答え下さい。

「財政健全化に向けた抜本的な改革に今から着手」「無駄遣いの根絶を一層 徹底」と仰有る菅直人さん。ならば、先月27日、スペインで可決した「財政緊縮法」を、どのように捉えていますか?

私は不思議でなりません。「国家公務員制度の見直し」を声高に語る民主党は何故、「地方公務員制度の見直し」をマニフェストの何処にも明記しないのかと。

貴方が所信表明演説で述べられた「個々の団体の利益を代表する政治」との決別は、本当だろうかと。

ホセ・ルイス・サパテーロ首相は、スペイン社会労働党の書記長。が、支持母体の労働組合が公立学校等で大規模ストライキを実施しても、些かも怯まず、この6月から即時、公務員給与平均5%削減へと舵を切りました。

60歳の定年まで、解雇も倒産も無縁な日本の地方公務員の月額給料は、諸手当を除き、控え目に見積もっても、民間事業所の平均賃金の1.5倍余りも恵まれています。

286万人の地方公務員、64万人の国家公務員、合わせて350万人の公務員給与を10%、削減するだけでも2.5兆円、消費税1%分の財源が生み出せます。

財政破綻寸前の長野県で私は、47都道府県で最も低い知事給与へと減額した上で、計50時間に及ぶ徹夜交渉の最前線に立ち、給与10%の削減合意を取り付け、更に就任初年度から退任まで7年度連続、プライマリーバランス=基礎的財政収支を黒字化しました。

プライマリーバランスの黒字化は10年後と、“計画経済”の如き悠長な目標を設定する菅直人さん、我が敬愛する経済学者の野口悠紀雄氏が、「『増税で経済成長』は、語るに落ちた理屈」と慨嘆する、“安易な増税”へ逃げ込む前に、“隗より始めよ”、“泣いて馬謖を斬”ってこそ、貴方が述べる「『課題解決型』の国家戦略」です。

第二のギリシアに陥(おちい)るまじ。その覚悟を抱いてサパテーロ首相も、労働貴族な官公労の既得権益に、メスを入れたのです。

菅直人さん、辞意表明から所信表明に至るまで丸々10日、問題山積にも拘らず、貴方の判断で首班指名の本会議以外、政策論争も法案採決も“開店休業”の「政治空白」に陥りました。

その10日間、少なく見積もっても企業の倒産は350件。口蹄疫の殺処分対象家畜は19万頭。自殺者は900人を超え、日本の借金は1兆円以上も増加。

「政権交代」応援団を自任していた「週刊金曜日」でも、「今度の政権には心が躍らない。『現実的』と言われて喜ぶ元左翼みたいな菅氏が首相だから」、と揶揄されています。

この田中康夫め、無礼千万、と叫びたい衝動に駆られていますか?

でも、聡明な貴方は、“煙たい存在”が周囲に必要、と仰有ってますね。

私どもの会派には、後藤田“カミソリ”正晴さん同様、警察官僚出身、心優しき亀井静香代表も居ります。

県知事時代の2003年、民由合併直後の貴方、小沢一郎さんと3人で、民主党の政見放送に出演。全国各地、60名近い候補者の応援に自腹で伺わせて頂いた不肖、私も居ります。

総選挙中に拝命した、ネクスト内閣の地方分権担当大臣を、選挙後に程なく、事前連絡も無く、マスコミ辞令で貴方から罷免された私です。その能力は兎も角、煙たさでは有資格者でありましょう。

代々木ゼミナールの謳い文句を拝借すれば、「親身の指導・日々是決戦」。

以上、「リーダーシップを持った内閣総理大臣」としての真摯な答弁を期待して、「地域に根差し、向上心に溢れる日本の中流家庭を共創すべく、国民の哀しみや不安を取り除き、誇りと希望を抱ける切磋琢磨の日本社会の再興」を目指す統一会派「国民新党・新党日本」の代表質問を、終わります。

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