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「VERDAD」 「田中康夫の新ニッポン論」Vol.104『君の名は?』

「にっぽん」「にほん」のどちらか一方に統一する必要はない、と2009年に日本政府が「決定」し、中国語jih日+pûn本を“借用”したマレー語Japungに由来する「外来語」だと『オックスフォード英語辞典』が明記する「Japan」を未だに多用し続ける極東の「日出ずる国」!

ウォロディミル・ゼレンスキーが大統領就任直後の3年前に駐日大使館を通じて同国が、「ウクライーナ」と表記すべきと求めたにも拘らず、日本の外務省は未対応!どころか、同国大使館HPの「ウクライーナの地名の正しいスペルと使用法」には、キエフを「クィイヴ」、オデッサを「オデサ」、チェルノブイリを「チョルノブィリ」と表記されているのに、キーウ、オデーサ、チョルノービリへと「日本独自」の呼称変更を3月31日に発表!

「田中康夫の新ニッポン論」Vol.104『君の名は?』

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「『にっぽん』又は『にほん』という読み方については、いずれも広く通用しており、どちらか一方に統一する必要はない」。

2009年6月30日、麻生太郎内閣総理大臣が河野洋平衆議院議長に送付した「日本国号に関する質問主意書」「今後、『日本』の読み方を統一する意向はあるか」への「答弁書」です。

星霜を経て日本記者クラブ加盟の新聞社・放送局・通信社は「無体な侵攻」に抗議する「連帯」として首都「キエフ」を「キーウ」に改める表記統一を敢行。

他方で3年前、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領就任直後に駐日大使館を通じて「ウクライナ」外務省が発出した公開書簡は、公用語に基づき「ウクライーナ」と表記すべきと日本政府に求めているにも拘らず未対応。

それどころか、「ウクライーナの地名の正しいスペルと使用法に関する公式ガイド」でキエフを「クィイヴ」、オデッサを「オデサ」、チェルノブイリを「チョルノブィリ」と表記変更一覧を現在も掲出中の同国大使館HPを嘲笑(あざわら)うかの如く日本の外務省は3月31日、キーウ、オデーサ、チョルノービリへの呼称変更を「ウクライナ及びウクライナ国民に寄り添い、事態の改善に向けてG7を始めとする国際社会と連携して取り組んでいきます」と発表しました。

イタリアのミラノMilanoは英語でも仏語でもミランMilan。「日本国、独逸国及伊太利国間三国条約」の盟友ドイツではマイラントMailand。NATO北大西洋条約機構の一員たる国家に敬意を表して呼称統一を、との議論は寡聞(かぶん)にして存じません。

冒頭の質問主意書に記された「右の閣議決定は現在でも維持されているか」に関しても答弁書は、「『日本』の読み方については、御指摘のような閣議決定は行っていない」、「お尋ねについては、承知していない」と言明。

「『にほん』でも間違いではないが、政府は『にっぽん』を使う」旨の「閣議決定」を1970年7月に佐藤栄作内閣が行ったと日本記者クラブ加盟媒体が報じていたのは「虚報」だったのかな?戦前の昭和9年=1934年、当時の文部省国語調査会は国号を「ニッポン」にすべきと答申し、これを受けて逓信省(ていしんしょう)も同年4月にJapanからNipponに切手の文字を改める旨、告示しているのです。

因(ちな)みに『オックスフォード英語辞典』に拠れば「Japan」は「日の出」を意味する中国語jih日+pûn本を“借用”したマレー語Japungに由来する「外来語」。

「ニッポン大丈夫か論」が“人口に膾炙(かいしゃ)”する昨今にも拘らず「江戸しぐさ」の偽史を未だに妄信する「ニッポン凄いぞ論」の皆々様が何故、中国伝来の表現=ジャパンを“焚書坑儒(ふんしょこうじゅ)”せず、更には「簿価」で譲り受けた国民の財産を元手に、駅前シャッター通りを生み出す「エキナカ」商業施設を林立させる「走る不動産屋」が用いるJRはニッポンに相応しき略称へ変更せよと唱和せぬのか、甚(はなは)だ理解に苦しみます。

思えば紙幅が無限大のデジタル媒体でも岸田総理、バイデン大統領と名字のみで報ずる、個人の「固有名詞」を大切にしない国家。「露助(ろすけ)」殲滅報道一色の米英メディアも記事の最初では必ず、ウラジミール・プーチン大統領盟友のドナルド・トランプ前大統領、とフルネームで記します。名字のみの記述は2度目からです。

近い将来、英国、カナダ、豪州から3人のスミス首相がG20に出席した場合、以下に表記分けするのでしょう?他方で中国、韓国、台湾の人物名にはフルネームで習近平、剰(あまつさ)えシー・ジンピン若しくはシー・チンピンと振り仮名まで付記。嗚呼(ああ)、自国の呼び名すら確定しない蜻蛉洲(あきつしま)の21世紀です。

「ウクライナ問題」まとめサイト

https://twitter.com/loveyassy/status/1526160804613353472
https://tanakayasuo.me/archives/32040

『現代ビジネス』での浅田彰氏との「憂国呆談」、『サンデー毎日』でのインタヴュー、VERDAD』「田中康夫の新ニッポン論」での論考をお読み頂けます!

日本国号に関する質問主意書   質問本文 答弁本文
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a171570.htm

「ウクライーナの地名の正しいスペルと使用法に関する公式ガイド」
https://japan.mfa.gov.ua/ja/news/73898-official-guidance-on-the-correct-spelling-and-usage-of-ukrainian-place-names
ウクライナの首都等の呼称の変更 日本国外務省
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press1_000813.html

日本はニホンかニッポンか 大昔は「ニポン」だった?
https://style.nikkei.com/article/DGXBZO37628860Y1A221C1000000?page=4

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