永遠の変革者こそ「保守」 エドマンド・バークを読み解く

「人々の革命への要求を先取りするような、その結果、人々が革命など必要としなくなるような賢明な政治や経済の果実を齎(もたら)す者こそ、真っ当な保守の指導者」。

アイルランド生まれのエドマンド・バークが

『フランス革命についての省察Reflections On The Revolution In France』で看破したのは、ルイ16世やマリー・アントワネットの断首より4年も前のことです。

即ち、保守とは「いま在るものを壊さず、より良く保全し、活かす」営為なのだと。

バーク哲学の要諦「Reform to Conserve保守する為の改革」は、何千年もの歴史の中から「家族」や「村」といった「共同体的」な有り様を大事だと共有すること。

その「保守」とは何かの定義付けも曖昧(あいまい)な儘、「極右」だの「極左」だのと安易で浅薄なレッテル貼りで思考停止状態に陥って久しい米欧日の「伝統的」メディアと知識層への贈与の一撃。

今は亡き西部邁氏との対話を紐解く「田中康夫の新ニッポン論」Vol.136『永遠の変革者こそ「保守」』。

 

PDF>>>PDF

 

本文原稿はこちらをクリックすると全文が表示されます

「人々の革命への要求を先取りするような、その結果、人々が革命など必要としなくなるような賢明な政治や経済の果実を齎(もたら)す者こそ、真っ当な保守の指導者」。

 エドマンド・バーク『フランス革命についての省察Reflections On The Revolution In France』の上梓は1789714日「牢獄バスティーユの襲撃」から僅か13ヶ月後。1793年のルイ16世、マリー・アントワネットの断首よりも前。彼が68歳で死去したのは1797年。ナポレオン・ボナパルトが総裁政府Directoireに代わって執政政府Consulatを設立する1799年「ブリュメール18日クー・デ・タ」の遙か前に、透徹した洞察を示していたのです。

 光文社「古典新訳」文庫版で翻訳を担当の二木(ふたき)麻里氏は看破しています。バークの主張から汲み取れる「保守主義」は「壊さないこと」「いま在るものをよく活かすこと」。壊さず保全し、破壊を避ける営為こそ「暴動と流血の革命を回避せよ」の主張に繋がると。

今は亡き西部邁氏と僕は15年前にTBSラジオ「BATTLE TALK RADIOアクセス」で「真の保守とは何か いま政治リーダーに求めるもの」を語っています。

「フランス革命なんて糞食らえ」とバークは断じたと早とちりして礼賛の向きも拒絶の向きも、既に潰(つい)えつつある「左右」「上下」の二元論的観念形態(イデオロギー)から脱却し得ぬ浅薄な認識。皆が拍手喝采したフランス革命後にリバウンドの混乱が訪れたのを踏まえ、保守ってのは『何も変えないこと』ではなく『より良い社会にしていく為に絶え間なく(インセサント)変革し続ける洞察力や気概や行動力を持ち合わせた人物であるべき』と僕は語ります。 

「彼の思想は近代知識人に対する痛烈な批判なんですよ」と応じた西部氏はpre=予め+scription=規定する「処方箋prescription」を引き合いに、バーク哲学の要諦「Reform to Conserve保守する為の改革」は、人間が考える為には先ずは大前提が必要で、それは何百年何千年という歴史の中から例えば「家族」とか「村」とか「共同体的」な有り様を大事だと共有せねば始まらないと続けます。

 政治家でありながら宗教論も芸術論も哲学論も一角(ひとかど)の著述家だった彼の元へ欧州の「まぁまぁの人たち」は戻っていくのに、自身のお粗末なオツムや経験から揺るがぬ大前提が出て来ると思い込む日本の政治学だのメディアだのは、バークを脚注(フットノート)扱いだと。

投資の効率性や利益率ばかりが重視され、金儲けになる外国人は歓迎だが、金が掛かる外国人は不要な「経済的新自由主義」の本音が露わになった現在、自治体の赤字事業中止で公共サーヴィス低下、民間委託で逆に大幅値上げを被った市民は被害感情の捌(は)け口(ぐち)を「異質なもの」に振り向ける、とバルカン近現代史研究の佐原(さはら)徹哉氏が近著『極右インターナショナリズムの時代』で述べる大意に同意した上で、僕は考えます。

「一時の熱狂」が「恐怖政治」や「独裁政治」を齎す歴史の悲喜劇と「保守の公理」を踏まえるなら猶の事、NYT(ニューヨーク・タイムズ)に象徴される米欧日の「伝統的リベラル」媒体と知識層(インテリ)は「極右」なる符牒を安易に用いて思考停止報道を続ける前に、風船ガム状態な日本で勃興のバブルガム新興勢力とは異なり、ハンガリーのオルバーン・ヴィクトルやイタリアのジョルジャ・メローニが広範な支持を得て政権を担当し続ける理由を、墨守(ぼくしゅ)でなく修正を唱えたバークに立ち返って反芻すべきではないかと。

露中印にドナルド・トランプの米国を加えた地政学的構図の変化を理解し得ず、ウルズラ・フォン・デア・ライエン欧州連合委員長と共に周回遅れな盲目的主戦論(ジンゴイズム)を「ウクライナ」に関して唱和する「近代知識人」ドイツのフリードリッヒ・メルツやイギリスのキア・スターマーの国内に於ける混迷を振り返る迄もなく。

 

 

【音源+文字起こし】2010年2月15日 TBSラジオ BATTLE TALK RADIO アクセス 真の保守とは何か いま政治リーダーに求めるもの 西部邁 田中康夫 https://nippon2014be.hatenadiary.jp/entry/2018/06/27/130747

 

エドマンド・バーク『フランス革命についての省察』(光文社「古典新訳」文庫

https://amzn.to/3Ie6Xgh

 

鈴木邦男氏が語る「愛国と憂国と売国」 2012年10月14日OA

BS11「田中康夫のにっぽんサイコー!」動画

https://www.youtube.com/watch?v=H6KMRC5Kyjw

番組で使用したフリップ

https://nippon-dream.com/wp-content/uploads/b299b92472a40d4063b55dc45f35f409.pdf

https://nippon-dream.com/?p=9469

 

エドマンド・バークに触れた講演録 2015年4月16日 一橋大学開放講座

https://tanakayasuo.me/wp-content/uploads/20150717182141.pdf

 

「ローマ教皇の容赦なき警告-教皇フランシスコとエドマンド・バークの通奏低音」

と題して月刊『文藝春秋』2014年6月号 特集『安倍総理の「保守」を問う』に寄稿しています

寄稿全文 https://tanakayasuo.me/wp-content/uploads/4583a6b488ced8b82b7ac21568606634.pdf

目次・巻頭・寄稿 https://tanakayasuo.me/wp-content/uploads/30319a1be7fdbe0c2291700e5b966581.pdf

まとめサイト https://tanakayasuo.me/archives/19903

 

「田中康夫の新ニッポン論」Vol.14「福音の悦び」

https://tanakayasuo.me/wp-content/uploads/2014/05/7b8b5e833ed21c32bb85f27943324559.pdf

https://tanakayasuo.me/archives/11965

 

https://x.com/loveyassy/status/1970686259363488154

自民総裁選5候補全員「移民政策」反対 外国人労働者230万人突破

お忘れですか⁉ 「毎年20万人移民受け入れ」に「トレンドを変えれば50年後も人口1億人が保てる」2014年「経済財政諮問会議 選択する未来委員会」提言に基づき「国柄を変える基本方針」閣議決定したのは安倍内閣

 

人口、50年後に1億人維持 政府が少子化対応で初目標 2014年5月4日

https://www.nikkei.com/article/DGXNASFS03014_T00C14A5MM8000/

「50年後も1億人規模の人口維持を」 政府有識者会議が提言2014年5月13日

https://www.nikkei.com/article/DGXNASFL130K4_T10C14A5000000/

移民「毎年20万人」受け入れ構想の怪しさ 2014年5月21日 正論

https://www.sankei.com/article/20140521-HOJQU7VL6ZOILEKASNNEWJ4GRE/3/

 

 

 

© 2026 田中康夫公式サイト