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2005年8月30日付「朝日新聞」朝刊1面左下に掲載された「『虚偽のメモ』で記者を解雇 本紙、選挙で誤った記事 東京編集局長ら更迭 取材倫理 抜本的に再点検」と題する1284字の本記

2005年8月30日付「朝日新聞」朝刊1面左下に掲載された「『虚偽のメモ』で記者を解雇 本紙、選挙で誤った記事 東京編集局長ら更迭 取材倫理 抜本的に再点検」と題する1284字の本記

朝日新聞記者が総選挙に絡んで取材をせずに虚偽のメモを作成して報告し、その内容を含んだ誤った記事が掲載されていた。朝日新聞社は29日、取材先や読者の信頼を著しく傷つけたとして、この記者を懲戒解雇にするとともに、東京本社編集局長を更迭するなど編集幹部も処分した。=37面に経過の詳細

懲戒解雇処分にしたのは長野総局の西山卓記者(28)。取材報道の責任を問い、東京本社の木村伊量・編集局長と金本裕司・長野総局長を減給、更迭。持田周三・政治部長と脇阪嘉明・地域報道部長をそれぞれ譴責、曽我豪政治部次長を戒告処分とした。さらに編集全体の責任を問い吉田慎一・常務取締役編集担当を役員報酬減額(10%、3カ月)処分とした。

社内調査によると、問題の記事は、8月21日付朝刊2面に掲載された「郵政反対派 『第2新党』が浮上」と、22日付朝刊3面に掲載の「追跡 政界流動『郵便局守れだけでは』」。

一連の記事では亀井静香・元自民党政調会長らによる新党設立の動きに絡み、田中康夫長野県知事が「新党日本」の党首に就任するまでの経緯などを紹介した。西山記者は20日、実際にはこの件について田中知事に取材していないにもかかわらず、取材したと総局長に虚偽報告。会談場所については推測で「長野県内」であるとメモを作り、亀井氏との会談での田中知事の発言はこれまでの知事の記者会見での発現などから引用して、勝手に作った発現をメモに記載して政治部の担当記者に渡した。田中知事からの指摘を受けて社内調査を進めていた。

吉田慎一・朝日新聞社常務取締役(編集担当)の話

実際の取材をせずに、あたかも取材をしたかのような報告メモをつくり、それが記事になるという、朝日新聞の信頼を揺るがす極めて深刻な事態が起きてしまいました。記者倫理に反する、決してあってはならないことであり、責任を重く受け止めています。田中康夫・長野県知事や亀井静香・元自民党政調会長ら関係者と読者のみなさんに深くおわび致します。こうしたことを二度と繰り返さないために特別チームを社内に立ち上げ、社を挙げて取材・報道の心構えや記者倫理のあり方を抜本的に再点検し、傷ついた信頼の回復のため具体策を早急にまとめて公表します。

おわび

21日付朝刊2面の「郵政反対派 『第2新党』が浮上」と、22日付朝刊3面「追跡 政界流動『郵便局守れだけでは』」の記事の一部が、虚偽の報告に基づいて作成されていました。関係者、読者の皆様にご迷惑をおかけしたことをおわびするとともに、一連の記事で計5カ所、22日付朝刊は見出しも削除します。

削除するのは次の通りです。

21日付朝刊の記事では、①亀井元政調会長と田中知事が会った場所を

長野県とした部分②会談で田中知事が亀井氏に反論したとされた場面「田中氏はうなずかず、こう反論した。『亀井さんも、いろいろと大変かもしれないけど、郵便局を守れっていうだけでは選挙に負けますよ。サラリーマン増税反対とか、もっと言うことがあるでしょう』」③2人の会談を長野とした部分④田中知事が20日に「民主党だけでなくいろいろな政党に友人がいる」と周囲に漏らしていた―との4カ所です。

 

「総選挙をめぐる新党結成の動きの中で朝日新聞社は長野総局のN記者(28)=懲戒解雇処分が取材しないで虚偽のメモを作り、それに基づく誤った記事を掲載しました。どのような経緯で虚偽メモは作られ、なぜ紙面に掲載されるのを防ぐことができなかったのか。取材現場の実態や問題点を再点検し、今後の対応策を検討するため、朝日新聞社は『信頼される報道のために』委員会を設置しました。その委員会の検証結果を報告します」

 

 

 

 

 

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