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「VERDAD」「田中康夫の新ニッポン論」Vol.106 「オバちゃん感覚」

「なぜ、知事になったのですか」との問い掛けに「より社会貢献できる場所だと思ったから」と僕は語り、石原慎太郎氏は「国会にいたんじゃ、何もできないから。とくに自民党では」と呟きました。

2人の知事を扱った2006年4月10日付『朝日新聞』「ニッポン人脈記」での発言です。

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「なぜ、知事になったのですか」との問い掛けに「より社会貢献できる場所だと思ったから」と僕は語り、石原慎太郎氏は「国会にいたんじゃ、何もできないから。とくに自民党では」と呟きました。

2人の知事を扱った2006年4月10日付『朝日新聞』「ニッポン人脈記」での発言です。

「東京(都知事)ならね。総理大臣と違って、色々なことができるだろ」と続けた彼は、「国が動かないなら、こっちが先にやってやる」と啖呵を切ります。

「プロフェッショナルなボランティアでありたいオバちゃん感覚」と“自画自賛”したのは僕。「『政官業の利権分配トライアングル』に御用学者と報道機関を加えた『政官業学報の現状追認ペンタゴン』を私は溶かしているから、それを死守したい人は生理的に、反射的に反発するんじゃないですか」と答えています。

「四半世紀を隔てて、若者像を小説で切り取った2人が、同時に知事の座にある。決して偶然ではない。目立ちたがり屋で、官僚嫌いの2人は、自分の言葉で政治を語り、政府とのパイプの太さ、組織選挙といった旧来型の価値観も手法も押しつぶしてきた。まさに、分権がすすむ時代の住民意識の変化を映し出す存在なのだ」と論説委員は締め括ります。

その「分析」を一旦留保し、知事就任1年後の2001年晩秋に上梓した『脱「ダメ日本」宣言』での田原総一朗氏の発言を再録します。「現地視察に一緒に回ったら、田中康夫はすごく細かいところに気がつく。両性具有で、オバちゃんみたいだ。そう思ってみると、5カ年計画なんて抽象的なものを掲げてもあまり意味はない、という貴方の考えはよくわかる」。

僕は述べています。「男は黒か白かのゼロサムの発想。女はもっとファジーで、ディテールに拘る。箱モノと同じで制度や法律ができればそれで世の中がすぐさま良くなるとは信じていない。必要なのは、職人というか現場の一人ひとりの心意気。机上の空論な会議を重ねて改革ビジョンを作るんじゃなく、待ったなしの問題を現場を見ながら、市民を巻き込んで話し合う改革」だと。

それは連載100回目「全体の奉仕者」で採録した、「『パブリック・サーバント』即ち『公僕』は田中康夫の政治的態度の最も基調にある」と大塚英志氏が「田中康夫の『サービス』精神」論考で言及した一文にも通ずる「勘性(かんせい)」です。

「女性というのはスーパーでトイレットペーパーを買う時には1円でも安いモノを買いたい。それは『私利私欲の塊』。でも、それ以外の社会的なことへの参加では意外と私利私欲は少ないんです。男は、ちょっと可愛い販売員の女の子がいると必要ないものでも余計に買っちゃう。でも、それ以外のことでは私利私欲の塊。政治でも経済でも、会社でも社会でも、大学の人事抗争を見れば学者だって、みんな私利私欲で動いている」。

法律や前例に基づき方策を探る演繹法(えんえきほう)は、袋小路な20世紀型の解法しか齎(もたら)しません。この制度って変だよね、こんなサービスが有ればなぁ、と老若男女が望む“無い物ねだり”ではない希望を実現すべくブレークスルーする帰納法(きのうほう)こそ『脱「ダメ日本」処方箋』。

が、政治でも経済でもジェンダーとしては女性の「指導者」は得てしてマニッシュな出で立ち。そのメンタリティも、マルかバツかで動く男性の「感性」。それは「地位は人をダメにする」の警句を裏付けるかの如く、島国ニッポンに限りません。愉快犯的「訪台」卒業旅行を敢行のナンシー・ペロシも、ヒラリー・クリントン的「好戦」論者と露呈した御年36歳、社会民主党党首でフィンランド首相のサンナ・マリンも。世の中、難しいですねぇ。

「朝日新聞」2006年4月10日「ニッポン人・脈・記」 「国より先にやってやる」
http://www.asahi.com/jinmyakuki/TKY200604100104.html

「田中康夫の新ニッポン論」Vol.100「全体の奉仕者」
https://tanakayasuo.me/archives/31610

「田中康夫の新ニッポン論」Vol.97「帰納法 弁証法」
https://tanakayasuo.me/archives/30807

信州・長野県知事時代の実績について★「未来への提言〜コモンズから始まる、信州ルネッサンス革命〜」―宇沢弘文・東京大学名誉教授が手掛けた「新しい社会」の在り方―
https://tanakayasuo.me/reference/governornagano

「怯まず・屈せず・逃げず」宇沢弘文さんとの想い出と題して「現代思想」増刊号「宇沢弘文 人間のための経済」
https://tanakayasuo.me/wp-content/uploads/379724bad4ae595295fd8efd5fe85d0d.pdf

宇沢弘文氏 生前最後のTV出演
2011年3月5日 BS11「田中康夫のにっぽんサイコー!」「宇沢弘文が語るTPP」
https://www.youtube.com/watch?v=t31kfmOQUP0

http://www.nippon-dream.com/?p=2756

動画&文字起こし・関連資料
https://nippon2014be.hatenadiary.jp/entry/2015/01/15/020906

「田中康夫の新ニッポン論」Vol.56「社会的共通資本」
『「怯まず・屈せず・逃げず」宇沢弘文さんとの想い出』を始めとする拙稿等もご覧頂けます。
https://tanakayasuo.me/archives/22210

「田中康夫の新ニッポン論」バックナンバー
https://tanakayasuo.me/archives/category/verdad

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