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「VERDAD」連載「田中康夫の新ニッポン論」Vol.98「日本の選挙制度」

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不在連絡票と共に運転免許証、健康保険証、マイナンバーカード、パスポート等の提示を求める郵便局の窓口で、「個人情報(プライバシー)」の侵害だと激昂する手合に遭遇した経験は皆無。「個人」を尊重すればこその本人確認だからです。

他方で「法治国家」ニッポンの投票所での「本人確認」はザル状態。名前と住所が印字された「投票のご案内」を差し出すや「お名前は?」と尋ねる手続すら省略し、「◎◎さんですね」と係員が「念押し」するとは笑止千万。レ点を記す「名簿照合欄」「簿冊・頁・行」、更にバーコードも付した件の用紙には「この『投票のご案内』がなくとも投票できます」と明記。実に不可思議な“清き一票”の担保です。

「先進国」は疎(おろ)か「途上国」でも、予め投票用紙に印刷された候補者名や政党名に丸印を付けるのが大勢。翻(ひるがえ)って、公示・告示日の立候補締切を待って選挙公報を印刷し、翌日開設の期日前投票所にも候補者一覧表が掲出され、開票所要時間を自治体間で競う一方、インクが滲む可能性を理由にボールペンでなく鉛筆での記入を求める「呆痴国家」ニッポン。

対象者が今回は11名に上る形骸化した“儀式”の最高裁判所裁判官国民審査。「弱視」が理由で代筆投票の有権者が個別判事の違憲・合憲判断を元にメモ書きを作成し、投票所へ持参する行為すら認めぬ「放置国家」ニッポン。

而(しか)して従来型公共事業より遙かにタチが悪いITハコモノ利権に血道(ちみち)を上げ、「未来志向DXを大胆推進。デジタル時代の官民インフラを5年で一気呵成に作り上げる」と大言壮語のデジタル庁も、「いつでも・どこでも・だれもが」投票可能な電子投票導入で投票率アップは不都合らしく、黙して語らぬ「砲血国家」ニッポン。

大韓民国に国民1人当たりGDP・労働生産性・最低賃金の何れも逆転される「日本の劣化」を齎(もたら)した諸悪の根源こそ、1994年1月23日に参議院で一旦否決されるも「帝都」が降雪に見舞われた1月28日深夜に衆議院で成立の「小選挙区制比例代表並列制」。往時37歳の僕が『噂の眞相』で連載開始直後の「東京ペログリ日記」から、参院否決翌朝の各紙社説タイトルを再録します。

「朝日:この事態を憂える」「読売:改革実現へ活路求めよ」「毎日:談合的取引は許されない」「産経:逆転成立に全力を尽くせ」。豈図(あにはか)らんや「原点に戻りまず腐敗防止法成立を」と真っ当な見出しを掲げたのは「日経」のみ。「読売」「産経」はその昔、自民党政権時代から小選挙区制導入論者だったから一応は「筋」が通っている。細川護熙(もりひろ)「非自民・非共産8党派」連立政権が誕生した途端に変節した「朝日」「毎日」は一体、何時「自己批判」したのか。

果たせる哉(かな)、2009年に細川氏が「小選挙区制は賢明な政治判断が出来る立法府にならない」、自民党総裁だった河野洋平氏も2014年に「率直に不明を恥じる気持だ」と懺悔するも後の祭り。両者を介在した小沢一郎氏、将又(はたまた)、低投票率な選挙の度に「出口調査」に血道を上げる“埃高き”記者クラブは、「中選挙区制」復活こそ「令和の政治改革」とは露程も語りません。

思えば人口の多寡に拘らずアメリカ合衆国上院は各州2人選出計100名を堅持。が、「定数削減」のお題目を唱和する「法治国家」ニッポンでは如何なる面子(めんつ)の張り合いなのか、“良識の府”参議院に各都道府県2人選出計94名を提案する選良を、加えて「一票の格差」を声高に語る「意識高い系」知識人が、小選挙区制に於ける「死票の格差」を是正すべく中選挙区制をと唱和する動きを、過分にして存じ上げず。斯くて衰弱し続ける極東の島国なのです。

「田中康夫の新ニッポン論」Vol.97「帰納法 弁証法」
https://tanakayasuo.me/archives/30807
「田中康夫の新ニッポン論」Vol.96「#横浜市長選挙」
https://tanakayasuo.me/archives/29501
「田中康夫の新ニッポン論」Vol.95「消費者資本主義」
https://tanakayasuo.me/archives/29037
「田中康夫の新ニッポン論」バックナンバー
https://tanakayasuo.me/archives/category/verdad

「憂国呆談」 「ソトコト」2021年11月号
https://tanakayasuo.me/archives/30834

「創る・護る・救う」田中康夫 横浜市長選挙特設サイトhttps://yokohama2021.me

https://twitter.com/shuji5175/status/1453356998695686150
韓国の選挙候補者には番号がふられる。ポスターにも名前とともに数字が大きく載る。候補者は顔と名前と番号を有権者に覚えてもらうのである。テレビドラマで見たけれど、この制度は同姓同名の候補者が出たときに解決策になると思う。

https://twitter.com/yumsunny1506/status/1453390962470707208
選挙のバリアフリー化が遅れている。他にも街頭演説に手話通訳やリアルタイム文字情報がほとんどつかないのは昔から殆ど改善されていない(せめて要約したフリップをスタッフが持つとかさ。早いとこパワポ/ディスプレイ使用OKに法律改正を)。盲ろう者へ公報の内容をお伝えするにも長時間を要する。

https://twitter.com/loveyassy/status/1455184481619365892
これでいいのかニッポン💢全国4万6466箇所の投票所「経費削減」を理由に 三分の一を超える1万6967箇所で閉鎖時刻を繰り上げ
法治国家⏩放置国家⏩呆痴国家⏩砲血国家

[衆院選2021]投票所の中には午後4時終了も…3分の1が閉鎖時刻繰り上げ
https://www.yomiuri.co.jp/election/shugiin/20211030-OYT1T50202/
31日投開票の衆院選で、総務省は、閉鎖時刻を繰り上げる投票所が全国で1万6967か所に上ると発表した。2017年の前回衆院選より257か所増えた。
公職選挙法は、投票所は午前7時に開き、午後8時に閉じると規定している。ただ、有権者の投票に支障を来さないと認められる特別の事情がある場合に限り、市町村選管は投票終了時刻を4時間以内の範囲で繰り上げることができるとも定めている。
茨城県では全投票所1368か所のうち1294か所で閉鎖時間が1~2時間、繰り上がる。宮崎県内の自治体には午後4時で投票終了する投票所もある。
総務省のまとめによると、投票所の総数は4万6466か所で、前回より1275か所減った。投票所数の削減や投票所の時間短縮は経費削減も目的とみられる。(読売新聞オンライン 八角一紀)

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