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「安倍元首相銃撃」と「日本の危機」  「安倍殺害」これから起きること 7月19日発売『サンデー毎日』7月31日号

腰が引けてる「記者クラブ」メディア。
街頭演説の背後に街宣車を“盾”として停める基本すら怠った警備体制。
多極化する世界。「従米一本足打法」ニッポン。
食料自給率こそ真の経済安全保障。
片翼を喪った岸田政権「呻吟の三年間」。

メルトダウンする日本の「これから」を寺島実郎氏と共に語った「倉重篤郎のニュース最前線」4ページ。

全文PDFでお読み頂けます。>>>PDF

「毎日新聞」HPにもアップされています。
https://mainichi.jp/articles/20220718/org/00m/040/006000d

こちらでもYa‘ssy発言部分をお読み頂けます。

『サンデー毎日』2022年7月31日号「倉重篤郎のニュース最前線」
「安倍元首相銃撃」と「日本の危機」 「安倍殺害」これから起きること

 いま私たちは「安倍政治」をいかに振り返るべきなのか。「岸田政権」は今後どんな構えを見せるのか。「日米関係」は、「日本経済」はどうなるか。

全体知の巨人、寺島実郎氏と、異才作家、田中康夫氏が危機の日本を透視する――。

 旧統一教会と政界の関係を明確にせよ

続いて作家の田中康夫氏の登場だ。その根源的メディア批評には定評がある。

 

なぜ当初、『記者クラブ』メディアは世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と報じなかったのか。

『カルト宗教』と認識していたフランスの代表的新聞『フィガロ』は電子版の第一報で固有名詞を出した。日本でも講談社WEBサイト『現代ビジネス』が『暗殺』の翌日に報じたが、新聞やテレビは投開票日の翌朝でも『ある宗教団体』とお茶を濁した。

今から30年前は一般紙もワイドショーも『合同結婚式』や『霊感商法』の悲劇を暴(あば)いたものだ。今回も『家庭連合』会長の釈明会見には宗教担当の編集委員クラスが出て詰問すべきだったのに違った。

河野洋平衆院議長の時代に副議長だった民社党出身の中野寛成元民主党幹事長のツイッターが目に留まった。『旧統一教会が注目されている。東京、ワシントンなど政界に幅広く根を張っている。機関誌の取材や秘書派遣など巧妙なようだ。若い頃私も反共平和を理由に勧誘されたが霊感商法や合同結婚式に違和感を感じ距離を置いた。この機会に政界との関係を明確にされることを望む』と。まさにその通りだ。

 

警備状況については?

街頭演説する背後に街宣車を“盾”として停める基本すら守られていなかった。奈良県警本部長は警備部門が長い警察官僚。警察庁長官も警視総監も安倍内閣で官房長官や総理の秘書官を務めた人物。東京から同行のSPが1名だけだった点も含め、これでは安倍氏も浮かばれない。

 

選挙後日本の大戦略は?

『第三世界』というイデオロギー的な概念を超えて世界は多極化し、中長期的にはG7に象徴される側が弱体化していく冷厳な現実を踏まえ、非資源国ニッポンは戦略と戦術を練るべきだ。ロシアが『非友好国』に指定したのは日本を含む48か国・地域。そのロシアで6月中旬に開催の第25回サンクトペテルブルク国際経済フォーラムには127か国が参加した。実は世界人口の85%近い66億人は『非制裁国』側に暮らしている。

人口がドイツと同規模のイラン、スペインと同規模のアルゼンチンが、人口1位の中国、2位インド、6位ブラジル、9位ロシア、25位の南アフリカで構成されるBRICSに加盟申請した。4位のインドネシアに続いて恐らく5位パキスタン、7位ナイジェリア、8位バングラデシュも同様に『保険』を掛けるだろう(サウジアラビアも加盟の意向を表明)。

皮肉にも石油の高騰でロシアが潤っているように、経済的新自由主義の御旗(みはた)を掲げ、国境なき多国籍企業という税金逃れの“鬼っ子”を生み出した『先進国』は「ウクライナ」以降、逆に「ブロック経済」という経済制裁で自分たちの首を絞めている。容易には理解し合えぬ「敵」とも言葉を尽くして対話する政治や外交が機能しないと、すべてを数字で計る経済も立ち行かない。その大本の公理に戻るべきではないか。

 

経済も社会も衰弱する「呻吟の3年間」

 

アジアの中での日本は?

ウォール・ストリート的な視点だと評されがちな『日本経済新聞』が5月末に開催した国際交流会議『アジアの未来』での各国指導者の発言は、主催者の意図を超えて実に意義深かった。米国が提唱するIPEF(インド太平洋経済枠組)は『中国を排除し世界に緊張を齎すブロック経済だ』とマレーシアのマハティール・ビン・モハマド元首相が述べ、シンガポールのリー・シェンロン首相も『アジア諸国が二つの陣営に分断されては良い結果は得られない』と釘(くぎ)を刺した。

今回のG20議長国インドネシアのジョコ・ウィドド大統領も同じ立ち位置だ。日本だけが『従米一本足打法』から抜け出せない。

 

防衛費増額が焦点だ。

仮に防衛費を倍増しても10兆円。対する中国は公表数値だけでも26兆円だ。その中国はエネルギー自給率8割、穀物自給率が9割を超える。

日本はカロリーベース食料自給率が37%。麺類やパンに欠かせぬ小麦粉、豆腐の原料の大豆、共に国内消費量の9割以上は輸入依存だ。

SUSHIと並んで世界用語となったSOBAの蕎麦の実の6割も同様。しかも日本への最大輸出国はロシアだ。

クマやラクダと違って人間は食い溜(だ)めが出来ない。食料こそ喫緊(きっきん)の経済安全保障。なのに、ファースト・ストライク=先制攻撃を敵基地攻撃と言い換え、ミサイル防衛、核シェアリングの北風すごいゾ論で盛り上がっている。

 

黄金の3年間となるか?

大平正芳が唱えた『楕円(だえん)の理論』(中心が二つの方が一つよりも安定)に頼っていた岸田政権は、片方を喪(うしな)った。その最大派閥・安倍派の跡目争いは党内外に予測不能な化学反応を引き起こす。

経済も社会も衰弱していく日本が直面する『呻吟の3年間』だと思う。

 

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「安倍殺害」これから起きること   「安倍元首相銃撃」と「日本の危機」

今回の選挙戦を振り返って時、ある場面が目に焼き付いて離れない。

特段の出来事ではない。選挙運動ではごく日常的で、当たり前の光景である。

東京近郊の2つの鉄道路線が交差する某駅頭での街頭演説であった。投票日5日前、立憲民主党の候補が立ち台から手を振り、同党の地方議員らが入れ替わり応援演説を展開していた。

街頭演説での人々の足の止め方、集客ぶりで、その党の人気、有権者への浸透ぶりがよくわかる、というが、さもあらん。気の毒なほどに人々の流れは止まらない。動員組はポツリポツリいるのだが、ちょっとでもその場に留まり、耳を傾けてやろう、という新しい塊がなかなかできない。

結果的に立憲の比例得票総数は677万票(得票率12・8%)。昨年10月の衆院選の1149万票(同20・0%)からガタ減りであったから、まさに、党の消長、街頭に現る、であった。人々には余裕も魅力もなかったのだろう。ここはやむなしとしよう。ただ、私が気になったのは、街頭でボランティア達が一生懸命配らんとした政見入りのミニパンフもまた悉く受け取りを拒否されたことであった。

人の波は電車が着くたびに大きく吐き出される。街を闊歩する人がこれだけいながらパンフを誰も受け取らないのだ。手も出さなければ、見ようともしない。何事もなかったように通り過ぎる。機械的で冷酷なほどの無関心であった。人気低落と言えども、野党第一党の発信である。政治に対する期待感、リスペクトの不在を思い知らされた。

そして、安倍晋三元首相銃撃事件である。まずは、非業の死を遂げた安倍氏には心から同情申し上げる。まだ事件の全容は解明中だが、組織、背景のある政治テロとは思えない。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)という宗教団体に母親が財産を貢ぎ、家庭を破壊された息子による逆恨みの線が濃厚になって来た。ただ、ここにも政治に対する憎悪に近い無関心という、時代の同じ匂いを感じとるのは私だけであろうか。   倉重篤郎「毎日新聞」元論説委員長

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昨年7月8日 横浜市長選挙立候補表明会見動画
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